05.19.04:29
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03.21.21:28
決意の夜
久々に思いつくままに書き散らした駄文です
何かの布石かもしれません(笑)
とある夜―――
風月華の自室を抜け出した悠夏は、腰に月清を、そして片手にタオルとビロード地の小さな袋を持って裏山の祠に居た。
折りしもその日は満月。
既に頭上にあるそれを暫し眺めていた悠夏は、おもむろに月清を鞘から抜き放つ。
その名のとおり、月光を反射して煌く刀身を真剣な面持ちで見つめていた彼女は、それを正眼に構えて呼吸を整えた。
そっと瞳を閉じて深呼吸を繰り返した悠夏は、仮想敵のゴーストを脳裏に描く。
「―――……はぁぁっ!」
幾つかの依頼で倒してきた1体1体を正確に思い出した彼女は、気合一閃、仮想ゴーストの群れの中に飛び込んで刀を振るい始めた。
満月と、悠夏しか居ない祠前に刃が空気を切り裂く音と彼女の息づかいが響く。
1時間以上、そうやって月下の剣舞は続き、最後の1体を倒した悠夏が動きを止める。
荒い息を整えつつ汗を拭って、
「……明日の朝一で、シャワーを浴びたいですわね」
ポツリ、そんな呟きを落とした。
月清を鞘に仕舞って祠のすぐ側に座り込む悠夏。
そして、タオルと共に持ってきていた小袋を手に取る。
「……お母様。わたくしは、そろそろ決着をつけなければなりませんわよね」
コロリ、小袋の中から悠夏の掌に転がり落ちたのは、小さな紅い石のついた指輪。
7月生まれの母親が、形見として月清と共に悠夏に遺した物。
それに話しかけるのは、悠夏が迷っている時の癖だった。
「わたくし、銀誓館に来て、初めて人を心から想えるようになったと思いますの」
楽しい寮生活のお陰ですわ。と指輪に微笑みかける。
「だからこそ。だからこそ、わたくしは決着をつけなければならないのですわ」
すっと顔から笑みを消して俯いた悠夏の表情は判らない。
ただ、その声音からは辛そうな、悲痛な思いが零れそうになっていた。
「来る戦いが終結し、約束を果たしたらわたくしは……」
―――悠夏の最後の呟きを聞いたのは、満月と祠と、彼女の掌に乗せられた指輪だけだった。
何かの布石かもしれません(笑)
とある夜―――
風月華の自室を抜け出した悠夏は、腰に月清を、そして片手にタオルとビロード地の小さな袋を持って裏山の祠に居た。
折りしもその日は満月。
既に頭上にあるそれを暫し眺めていた悠夏は、おもむろに月清を鞘から抜き放つ。
その名のとおり、月光を反射して煌く刀身を真剣な面持ちで見つめていた彼女は、それを正眼に構えて呼吸を整えた。
そっと瞳を閉じて深呼吸を繰り返した悠夏は、仮想敵のゴーストを脳裏に描く。
「―――……はぁぁっ!」
幾つかの依頼で倒してきた1体1体を正確に思い出した彼女は、気合一閃、仮想ゴーストの群れの中に飛び込んで刀を振るい始めた。
満月と、悠夏しか居ない祠前に刃が空気を切り裂く音と彼女の息づかいが響く。
1時間以上、そうやって月下の剣舞は続き、最後の1体を倒した悠夏が動きを止める。
荒い息を整えつつ汗を拭って、
「……明日の朝一で、シャワーを浴びたいですわね」
ポツリ、そんな呟きを落とした。
月清を鞘に仕舞って祠のすぐ側に座り込む悠夏。
そして、タオルと共に持ってきていた小袋を手に取る。
「……お母様。わたくしは、そろそろ決着をつけなければなりませんわよね」
コロリ、小袋の中から悠夏の掌に転がり落ちたのは、小さな紅い石のついた指輪。
7月生まれの母親が、形見として月清と共に悠夏に遺した物。
それに話しかけるのは、悠夏が迷っている時の癖だった。
「わたくし、銀誓館に来て、初めて人を心から想えるようになったと思いますの」
楽しい寮生活のお陰ですわ。と指輪に微笑みかける。
「だからこそ。だからこそ、わたくしは決着をつけなければならないのですわ」
すっと顔から笑みを消して俯いた悠夏の表情は判らない。
ただ、その声音からは辛そうな、悲痛な思いが零れそうになっていた。
「来る戦いが終結し、約束を果たしたらわたくしは……」
―――悠夏の最後の呟きを聞いたのは、満月と祠と、彼女の掌に乗せられた指輪だけだった。
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